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千葉工業大学 藤井研究室

建築構造物の地震応答評価,耐震構造

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2016年熊本地震被害調査
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2016年熊本地震被害調査

このページの最終変更日 2016年9月9日 午後 05:14:18

1. はじめに

 2016年4月に発生した熊本地震において,熊本県・大分県を中心として大きな被害が発生した.そこで,2016年4月28~30日に宇土市・熊本市を中心として被害調査を実施した.ここでは,大きな被害の発生した宇土市役所について概略を報告する.

 詳細な報告書はこちら

2. 地震概要
 


前震・本震の震源位置
震源(気象庁発表による:2016年4月30日時点)
 前震本震
発生日時 2016/04/14 21:26:342016/04/16 01:25:05
震央緯度北緯32度44分5秒北緯32度45分2秒
震央経度東経130度48分5秒東経130度45分7秒
震源深さ11km12km
マグニチュードM6.5M7.3
最大震度7(熊本県益城町)7(熊本県益城町・
西原村)


3. 宇土市役所の概要

 宇土市役所は昭和40年(1965年)5月に竣工したRC造5階建ての建築物である.敷地内に宇土市役所本館(以下,「本館」と表記)のほか,宇土市議会,宇土市役所別館,宇土市勤労青少年ホームと宇土市福祉センターがある.宇土市の震度は,前震で5強,本震で6強であった.調査時点(4月29日午前中)では,市役所敷地内は立ち入り禁止となっていた.


宇土市役所の全体配置図

4. 被害状況

 被害状況は,立ち入り禁止エリア外からの目視により確認.本館南面と西面の3~5層で大きな損傷が生じており,特に4層は部分的に落階していた.くわえて,南面と西面にあったバルコニーの柱の多くが落下していた.これに対し,北面では梁の端部に大きなひび割れが確認できた他は目立った被害はなく,東面は他の建築物が近接していたため十分に観察はできなかったが,大きな損傷は見られなかった.なお,市役所敷地内では,本館以外の建築物に大きな被害は見られなかった.


本館を南側より望む

本館を西側より望む

本館を北側より望む

本館を東側より望む
 本館南面の被害
 
 写真S1~S3は南面の略立面図と対応.西側5層の隅柱の柱頭部(写真S1)と5層側柱の柱頭部(写真S2)に大きな曲げひび割れが確認できたほか,4層側柱と5階梁との十字型接合部にてかぶりコンクリートの剥落が確認できる(写真S3).



本館南面の略立面図

写真S1:南面5層西側隅柱柱頭の損傷

写真S2:南面5層側柱柱頭の損傷

写真S3:南面4層側柱と5階梁との接合部の損傷
 本館西面の被害
 
 写真W1~W3は西面の略立面図と対応.5層側柱の柱頭とR階梁の端部に大きなひび割れが確認できる(写真W1).加えて,5層南隅柱では,柱頭部の角に大きな曲げひび割れのほか,柱脚部の5階梁とのT字型接合部に大きな縦方向のひび割れが確認できる(写真W2).4層では,側柱が軸方向に大きく縮んでおり,5階梁が大きく傾いている(写真W3).なお,3層以下の層では,3層側柱の柱頭部の4階梁との十字型接合部にてかぶりコンクリートの剥落と3層南側隅柱の柱頭部の4階梁とのT字型接合部にてひび割れが見られたほかは,4層以上に見られた大きな損傷は確認できなかった.



本館西面の略立面図

写真W1:西面5層側柱の損傷

写真W2:西面5層南側隅柱の損傷

写真W3:西面4層側柱の損傷

 本館北面の被害
 
 写真N1~N3は北面の略立面図と対応.5層の西側隅柱の柱頭部に大きな曲げひび割れが生じているほか,柱頭部につくR階梁の端部にも大きな斜めひび割れが確認できる(写真N1).加えて,4層西側隅柱の柱頭部につく5階梁の端部にも大きな斜めひび割れが確認できる(写真N2)ほか,4層西側隅柱の柱脚部と4階梁にも斜めひび割れが確認できる(写真N3).



本館北面の略立面図

写真N1:北面5層西側隅柱の柱頭部の損傷

写真N2:北面5層西側隅柱と5階梁の損傷

写真N3:北面4層西側隅柱の柱脚部と4階梁の損傷

4. まとめ

 敷地外から目視で確認した限り,本館の被害は主として南面と西面の3~5層で生じていた.特に,西面の4層側柱において,鉛直荷重負担能力を失ったと思われる大きな損傷が生じていたほか,南面の3層・4層側柱の柱頭部では,梁との十字型接合部でかぶりコンクリートの剥落する被害がみられた.
 
謝辞

 初めに,この地震で被災された熊本県・大分県の皆様に対し,謹んでお見舞い申し上げるとともに,一日も早い復興を祈念します.加えて,本報告(Web版)での図の一部の作成に際し,Google Earthにて公開されている上空写真を使用させていただきました.ここに謝意を示します.